2022AW BEAUTIFUL CONTRAST
ある人に強烈に惹きつけられるとき、
相反する2つの要素を持つ美しさを、 今を輝く表現者たちの言葉から見つけたい。
Vol.03 松島花 モデル 「強さ/柔軟さ」
トップモデルとして華やかな世界で活躍する一方で、ライフワークとして犬猫の保護活動に注力されている松島花。自分軸を持ちブレずに進む力強さと、時代感を察して取り入れる柔軟さを併せ持ち、今日もふたつのコミュニティを颯爽と渡り歩いている。
- Photography
- TATSUNARI KAWAZU(S-14)
- Styling
- YOSHIKO KISHIMOTO
- Hair & Makeup
- KEIICHI HIRAMOTO
- Design
- KOICHI HACHIMAN (ARKHAM design)
- Edit,Production
- MANUSKRIPT

多様化するアパレル業界で
自分を見失わずにモデルを続けたい
あまり人からの意見で自分がブレたり、それを鵜呑みにすることがなくて。「ここは共感するけどこの部分は私とは違う」と取捨選択をすることがほとんどです。なので人から勧められたものはたいてい飽きてしまい、自分からのめり込まないとダメなタイプ。続けられているのは仕事、トレーニング、保護活動の3つでしょうか。モデルのキャリアは20年以上になるけど撮影は毎回楽しいし、本当にこの仕事に出会えてよかった。洋服を素敵に見せることを目標として、フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイクなどみなさんがぞれぞれの役割を頑張っている環境が好きなんです。自分自身も見た目だけじゃなく技術的にやれることがたくさんあるので、その日のライティングや企画のページ構成など全体を把握して撮影に臨みたいタイプ。TVやトークショーなどは松島花として出てるけど、モデルとして誌面やカタログに出るときは自分は二の次で、そのブランドに染まれるだけ染まれたらハッピーだなと思っています。最近はモデルを通過点にして女優になるのが主流ですが、私が仕事を始めた当初はそこがはっきり分かれていて。モデルであることに誇りを持ち、極めている先輩がたくさんいたので少し寂しい気持ちもあります。アパレル業界も変化していて、最近は店頭のマネキンの体型も多様化していますよね。いわゆるモデルという立場が今後どうなっていくかなと考えることもありますが、新しい流れを楽しみつつ、自分を見失わずに妥協せず丁寧にこの仕事を続けていきたいと思います。
ルールが異なるとぶつかることもある
考えを伝えるコミュニケーションが大切犬猫の保護活動を始めたのは母の影響です。祖母も動物が大好きでお世話をしていたようでDNAに刻まれてるんでしょうね。今一緒に暮らしている愛猫を保護主さんから迎えるにあたり、Instagramの保護活動アカウント「松島花アニマル」を立ち上げて、4年になりました。当初はアンチコメントもあって落ち込みがちでしたが、譲渡を目的とした投稿だけではなく自分の思いや考えを織り交ぜていくことで、応援してくれる方が増えたように思います。ボランティアさんたちとSNSでやりとりをすることが多いのですが、そうするとこの活動がどんどん広まっているように錯覚するんです。でも実際は街に新しいペットショップがオープンしたり、そういうお店にお客さんがたくさん入っている現状を見ると、まだまだ全然なんだなと気付かされます。保護活動している側と、ペット産業の裏側で行われてることを知らない方々との温度差がとにかくすごい。関心のない方に伝えていく難しさを日々感じますね。犬猫の保護活動は優しさがもちろんベースにはありつつも、意志や自分の考えを強く持っていないといろんな意見に振り回されてしまいがち。目の前のこの子を助けたいというゴールは同じなのに、ルールが違うとボランティアさん同士で衝突してしまうこともあるんです。DMでたくさんのご意見をいただきますが、丁寧に自分の考えをお伝えするとアンチが応援してくれる方に変わった経験も何度もあります。自分の意見を言うのが大得意というわけではないのですが、伝えていかないとズレが生じがちだなと思っていて。真摯に向き合ってくれる方とコミュニケーションをしっかりとっていきたいと思っています。
過剰な線引きはせず
矛盾を割り切る勇気も必要モデル業をするうえでは、SNSがファンの方とコミュニケーションを取れる場所なので、コンスタントにアップすることでリアクションをいただけてとても楽しいんです。オフィシャルのアカウントは35万人の方にフォローしていただいていますが、保護犬・保護猫のアカウントは8万人。それでもすごい数ですが、比較するとまだまだだなと思います。オフィシャルとアカウントを分けたのは、私というひとりの人間のライフワークにしたかったから。仕事中にオフィシャルのお返事をすることはありますが、アニマルのアカウントは触らず、家やカフェなど集中できる環境でやりとりをするようにしています。モデルと動物保護という相反する活動をしているようにとらえる方もいるかもしれませんが、私のなかではどちらも自分。どんどんファーも廃止になりファッション業界もいい方向に変わってきていますし、保護活動を突き詰めていくと続けることのハードルが高すぎてしまうと思っていて。多少矛盾が生じたとしても割り切って、自分でできることをコツコツ続けるのが保護の輪を広げていくポイントなのかなと思っています。アニマルのアカウントは辛くて見れないという意見が多いですが、たまに覗いてくれたり活動に興味を持っていただけると嬉しいですね。私の拡散が命に繋がったとか、アカウントがきっかけで保護犬・保護猫を迎えたという情報が入ってくるとすごく前向きな気持ちになれます。同世代の方にもっと知っていただけるように、そしていつか生体販売がなくなりアニマルのアカウントが必要なくなることを願って真摯に取り組んでいきたいと思います。
PROFILE
- 松島花
- 東京都出身。11歳でモデルデビューし、さまざまなCM・雑誌・カタログ・ショーで活躍。
現在は『CLASSY.』を始めとしたファッション誌でトップモデルを務める。
2018年から始めたInstagram「松島花アニマル」のアカウントでは保護犬・保護猫の情報を発信している。
https://www.instagram.com/hana_matsushima_official/
https://www.instagram.com/hana_matsushima_animal/