TOPICS

FEATURE
ARCHIVES

Sweet Nostalgia 郷愁を誘う服 Vol.03

SPECIAL2018/10/23

タップは振動。ふたりの鼓動が合わさる時、
気持ちがひとつに寄り添い合う。

中西優華 / 中西浄華

世界で活躍するタップパフォーマンス姉妹デュオ「華puspa」。エモーショナルなふたりのダンスは、阿吽の呼吸の極み。集中し、熱中し、溢れ出るエネルギー。たっぷりとしたダブルフェイスのコートを羽織り、目を惹く色鮮やかなピンクと、シックなボルドーのワンピースで身を飾る。曲線が柔らかな空気と、個性の強いふたりが醸し出すパッション。リズムとステップが伝わる別世界へ。

「自分の時間を作ろうとしないと、
時間がないくらい一緒にいますね」

京都生まれ京都育ちの姉妹ダンサーデュオ「華〜puspa〜(ぷしゅぱ)」は、2014年にポルトガルで行われたダンスの世界大会で優勝し、金メダルを獲得。2016年にはイタリア国際バレエ・コンテンポラリーコンクールにて姉の中西浄華が1位、妹の優華がトップ5賞を受賞。その他にも数々の表彰に輝く彼女たちは、ジャズダンサーの吉田千佳子氏に師事し、幼少時からジャズダンスやバレエ、ヒップホップなど様々なダンスを学びタップダンスに辿り着いた。ふたりでユニットを組んで今年で17年目を迎える。

「祖父が社交ダンスの先生をしていたこともあったので、ダンスを仕事にしているプロのロールモデルが間近にいる環境でしたね。父がハードロック好きで、母も音楽を嗜んでいたので、両親の出会いは大学時代の音楽サークルがきっかけだったと聞いています」「子供の頃は家族でバンドを組んで演奏したこともあります」と話す中西姉妹。現在は、各地で行われるライブや公演に出演するほか、タップやジャズ、K-POPのインストラクターとしてレッスンを受け持っている。また、ふたりとも中学校と高等学校の英語の教諭一種免許状を習得しているので、教育機関のワークショップや、聴覚にハンディキャップのある方々へのタップ指導も行っているそうだ。
「タップは、音のダンスなのですが、耳が聞こえない人にも振動を感じて、目で見ても楽しめるようなダンスを指導しています」例えば、自主ライブの際には、手話通訳を入れるなどして工夫をしている。

同じリズムの波長で
日々の生活は回っている。

「私たち姉妹は、仕事のパートナーでもあり、パートナーが家族という立場でもあります。密接しすぎているので、仕事と家族のボーダーがないです」と話し、「プライバシーは無いよね」と笑い合う。身体も足のサイズも大体一緒なので、洋服を買うときも「この服、あんたも着るやろ?」って、ひと押しもらってから買う。スタジオで練習しているときも、間が合うことはしょっちゅうで、同じリズムの波長で日々の生活は回っている。

「お姉ちゃんが辛い時は、なぜか私が泣いてしまったり。自分の事は我慢して耐えられるけど、感情が同調してしまうんですよ」「私もそう。妹が怒られていると、私が口出してしまったり、感情移入してしまう」いつもふたりが基準だから、凸と凹の関係性を保ってこそ、自分の存在がお互いにあるという感覚のようだ。
ダンスは、はじめに曲が浮かび、踊りを作って、衣装を決める順番で生み出されていく。
「いつも衣装が課題になることが多いですね。作品に合わせた既存の衣装を探すのは大変なので、布を巻いたり貼ったりして多用しています。母に作ってもらうこともあります。着ているものって、その時のテンションや気持ちに反映されるから、作品にピッタリくるものがあると、やっとこれで完成したなと嬉しくなりますね」

今回の動画での撮影では、実際に即興のタップダンスを披露してもらった。タップスと呼ばれる金属板を靴底の爪先と踵につけたタップシューズを履き、床を踏み鳴らしながら踊る。視覚と聴覚に訴えかけてくるような振動が伝わる奥深いダンス。張り詰めた空気の中、目配せで会話が成り立っているような、ふたりの阿吽の呼吸。軽やかで、ダイナミックなセッションがリズムを奏でる。息のあった小気味良いステップが弾む。

ファッション撮影は初めてだから、とても新鮮だという。オーバーサイズの色違いのチェックのコートを羽織ったふたりは、袖口をまくると異なるチェック柄が覗き、立体感のあるコーディネート。インナーに着た前後2ウェイのワンピースは、裾がアシンメトリーのフリルになっているので、波のような滑らかな躍動感が演出される。踊った時、インパクトのあるピアスが揺らめき、服が息づいていくような不思議な場面を体験した。

「踊っている時は、頭がどこかにいってしまっていような感じ」と話す姉。「お姉ちゃんと一緒なら、全ての体重を任せられるような、何が起こっても大丈夫という根拠のない自信がある」「そうだね。安心して委ねられる」お互いが車の両輪のようだと話す。二人三脚ではなくて、信頼という軸で同時に転がされて走っている感じだそうだ。今後、離れて住むようになったり、お互いの環境が変わることがあったとしても、ふたりの魂が分かれることは決してないだろう。

海外の生地展をまわりながら、両面とも柄になっている珍しいダブルフェイスのコート地を発見し、国内の工場でアダム エ ロペオリジナルの生地を製作して、仕上げたコート。贅沢な分量感のコートは大人っぽく、長く愛用できるようなデザインに落とし込んだ。

中西優華 / 中西浄華
ダンサー

姉妹ダンサーデュオ。あらゆるダンスを融合させた斬新かつ芸術的なタップパフォーマンスで、国内外の様々なイベントや公演で活躍中。現在はK-POPやタップクラスも開催。
https://puspa-tap.com

Photography: Junpei Ishikawa、Kaori Ito、Yasuhiro Yokosawa
Styling: Yu Sugiura
Hair & Make-up: Narumi Tsukuba
Art Direction: Goshi Sato(OFFS)
Writer: Akane Fujioka

LATEST SPECIAL