Sweet Nostalgia 郷愁を誘う服 Vol.02

SPECIAL2018/10/05

移り変わる東京を切り取り、
思い出を記録に残す。

クリス・ルッズ / アンジェ・ルッズ

青く澄んだ瞳が印象的なルッズ兄弟。興味があればどこへでも行くようなエネルギッシュさと、繊細さを兼ねあわせた映像クリエイターのふたりを紐解く。

なんでもふたり分、
同じものを分かち合い、シェアできること

ポーランド出身、東京在住の映像クリエイターユニット「DIGITAL AMIGOS」のルッズ兄弟。兄のアンジェ・ルッズと10分違いで生まれた双子の弟クリス・ルッズは、約2年前からアムステルダムと日本を行き来する生活を送っていた。兄弟ともに某大手広告代理店のアムステルダム支社でクリエイティブディレクターを務め、数々の広告やコマーシャルを手がけていた。

弟のクリスは、ゲーム会社で3Dアニメーターとしてのキャリアを始めたが、あらゆる現場でみんなと作りあげていくクリエーションに興味が湧き、数年前から映画やデジタルストーリーテリングに焦点を移す。「関西にある美術大学の交換留学生としてイラストやスケッチを学ぶために来日しました。その時は、抽象的でサイケデリックなイラストを描いていました」

兄のアンジェは、初めて来日した時に、空港の匂いや自然のエナジーを感じて以来、日本贔屓に。
「伝統的な文化や精霊が宿っていそうな山や海、そして東京という最先端の街の喧騒やネオン、ミラーボールが煌めく空間も大好きです」

「都心も好きだけど、
23区から少し離れたところも面白い。」

3年前にふたりで始めた「DIGITALAMIGOS」は、芸術の自由や、人々とのコミュニケーション、競争よりもむしろコラボレーション、哲学やユニーク、そして何よりも愛をモットーとしながら、映像作品を生み出している。そもそも、ふたりが映像クリエイターになった経緯は、映画『スターウォーズ』から影響を受け、ヴィジュアルエフェクトやアニメーションの仕事をしたいと思ったことからだ。
「ヴィジュアルエフェクトアーティストとしての仕事は、常にコンピューターと向かうため、疲れてしまって。様々な場所へ旅することや、実際に生身の人間との出会いが大切だと気づきました」

先日も、友人たちと京都の宇治や、よさこい祭りを撮影しに高知へ行ったり、何でも興味があることは、時間やタイミングさえ合えば、すぐに実行するふたり。今日の撮影も、クルーネックを着たアンジェは、スティーブ・ジョブズのモノマネをしたり、撮影中は飛んだり跳ねたり、楽しそうに挑んでくれた。

兄弟でよかったことは、「なんでもふたり分、同じものを分かち合い、シェアできること」と話すふたりには、それぞれがセットアップとしても着られるように、微妙に異なるチェック柄をあえて互い違いにコーディネート。視覚的に違和感があるような、少しニヒルなスタイリングは、クリーンな品とこなれ感が出るように意識した。アダム エロペの今シーズンのキーワード、ハイブリッドを表しているツイード地は、ポリエステルの強ねん糸を使うことで、素材に質感が生まれて爽やかな着心地だ。「都市生活をストレスフリーに過ごす」という日常に寄り添う素材の、新しい解釈が含まれている。東京で別々に住むふたりに、ストレスフリーな暮らしを伺った。

「アムステルダムでは、人の数よりも自転車の方が多くて、ローカルも観光客も自転車で旅したり、所有率が高いです。自転車専用のレーンがあったり、平らな道に塗装され、自動車よりも自転車が優先される権利がオランダの多くの都市にあります。東京でも、サイクリンストたちが走りやすい環境になることを願っています」と言うアンジェ。
一方、クリスは、「以前、アムステルダムのフォンデルパークの近くに住んでいた時は24時間自由に公園を出入りできて、散歩途中に見知らぬ人と挨拶を交わしたり、コミュニケーションが生まれる大切な場所でした。実は東京も緑が多いし、素晴らしい公園がたくさんあるので満喫したいですね」

日本で尊敬するクリエイターは?と伺うと、兄弟は揃って、「関根光才!2ヶ月前に彼の映画の仕事に少し関わりました。それから、映画監督の新藤兼人と三池崇史」と即答。「僕たちは、つい先日、新しく出たシネマカメラを手に入れたばかり。オリンピックなどで目まぐるしく変わっていく東京を撮影したいです」「そう。オリンピックで海外からたくさんの人が来るだろうから、肩の力を緩めてリラックスするといいと思うよ。もう少し、家族の時間を増やしたり、ハッピーな人が増えたらいいね」

「今、考えているのは、世界で一番幸せなんだけど、幸せだと感じていない不運な男が出てくるような映画です」海女さんを主役にしたアドベンチャー物語や、環境についてのヒューマン映画など、今後たくさんの作品を撮りたいと熱意を語る。ふたりにとって日本をどのように切り取り、映像に残してくれるのかとても楽しみだ。

今シーズンのキーワードでもあるHYBRIDを表した代表アイテム。ツイード見えするポリエステルの強ねん糸を用いた各アイテムは、都市生活をストレスフリーに過ごす、という日常に寄り添う素材の新しい解釈。

クリス・ルッズ / アンジェ・ルッズ
映像クリエイター

映像クリエイターユニット「DIGITAL AMIGOS」。主に広告やコマーシャルを自由な感覚で編集する。詳細は、http://www.digitalamigos.net

Photography: Junpei Ishikawa、Kaori Ito、Yasuhiro Yokosawa
Styling: Yu Sugiura
Hair & Make-up: Narumi Tsukuba
Art Direction: Goshi Sato(OFFS)
Writer: Akane Fujioka

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