The Source of Inspiration -旅 余暇 食 - vol.02 ne Quittez pas × JULIA SHORTREED

SPECIAL2018/04/13

旅、余暇、食ーーーー。
それは私たちのアイデンティティのみなもと。今シーズンのアダム エ ロペは、絵画、歌、文章を生業とする3人のクリエイターをパートナーに選んだ。
彼らにアダム エ ロペが今季特に注力するアイテムを着用してもらい、そこからインスパイアされた独自のアイデアでそれぞれの創作活動を行ってもらった。
ありのまま、自然体の姿で彼らがとらえたものは?
ブランドのコンセプトとともに、そんな3人のドキュメントをお届けしたい。

古きよきアンティーク、石畳の路地、パリでの思い出を呼び起こしたのは、精緻な刺繍のチュニック。
静かに熱を帯び、しっとりと濃密な非日常の中でしたためた歌、それは内なる心と向き合う時間。
迷いの中で見えてくる、小さな光。その先に向かうように、彼女は奏で続ける。

JULIA SHORTREED プロフィール
ミュージシャン、モデル。18歳で作曲をスタート。映画やドラマの劇中歌を担当するなど活躍中。8月末には、新プロジェクトでHot Buttered Recordから7インチのレコードをリリース予定。彼女独特のおしゃれな着こなしに、ファンも多い。


アンティークや、人の手を感じられる刺繍に惹かれて。

このチュニックを手渡された時、まっ先に思い浮かんだのはパリだった。
今年の1月に訪れたパリ。ミュージシャンだけでなく、モデルとしても活動しているジュリアだが、最近はヴィンテージの洋服や小物のバイヤーとしても仕事の幅を広げている。今回もそのバイイングのために、何日かを仕事に、そして残りの数日をプライベートの休暇に費やした。「仕事でのパリは今回が初めてです。好きな地区はマレ。パリの中心地に、20以上のアンティークショップが密集するヴィラージュ・サンポールという場所があって、そこには必ず足を運びます」。アパートの中庭に面した1階部分に骨董品店がずらりと並び、アンティークの家具や食器、レース類、キッチン雑貨、本に至るまで、さまざまなアイテムが一堂に集まるアンティーク好きにとって垂涎の場所だ。「アンティークのショップ街もパリっぽいなと思うんですが、パリの大通りから脇に入った、古びた石畳の路地も雰囲気があってとても好き。トンネルのようにアーチ状になった石の壁や、長い歴史を感じさせる色褪せた味わいのある小道。この街ならではの情景だなと思う。今回のパリで石畳の路地を歩いていた時、前から女性が歩いてきたんです。たぶんフランス人で、私より少し年上の女性。その女性が着ていたのが、まっ白なチュニックでした。胸元に施された赤い刺繍が、とても印象的だった」

実は、もともとチュニックというアイテム自体、持っていないというジュリア。ロングトップスにロングスカート、膝下丈のコートなど量感あるコーディネート、あるいはタイトなシャツにワイドパンツなどメンズライクが好みの彼女にとって、チュニックは少々可愛すぎるのだろうか。

「そうですね、それまではあまり目がいきませんでした、正直。でも、今回、ぐっと近い存在になった。パリというと、やっぱり刺繍やレースがあしらわれた、“人の手”を感じさせる洋服や雑貨が気になる。チュニックはその代表的なアイテム。これは上品なエスニックテイストも加わって、パリらしいな、と改めて感じます」

MORE INFO
ユニセックスで着用可能なモデルを別注。チュニックのほかオープンカラーシャツもある。

パリがもたらした、自分を見つめ直す時間。

リラックスウェアからスタートした「ヌキテパ」は、時代の気分をキャッチしながらも、定番として長く着られるようなデザインが魅力。インドの伝統的なクラフトワークを服にのせ、深みのある色でシックな雰囲気に仕上げているのが特徴だ。胸元にシャーリングを寄せたクルーネックブラウスやドットのカットワークを全面に施したオフショルダーのトップスなどを展開する人気のレディスブランドだが、今シーズン、アダム エ ロペが初めてユニセックスで着用できるモデルをオーダ。このチュニックもそのひとつだ。コットンガーゼのふんわりした素材感にやさしい風合いは肌なじみがよく、いつまでも着ていたくなる。「柔らかなコットンが本当に気持ちいい。しわも味になるから、くるっと丸めてバカンスにも持って行きたい、そんな1枚です」。春や秋はもちろん、レイヤード次第でオールシーズン着れるという使い勝手のよさもある。「ハイウエストのデニムにインして着たり、中にタートルを合わせてもいいかな」

今回、チュニック=パリから想像を膨らませたのは『I o I』という曲だ。「曲作りする時はひとりで、無音のなかで行います。イメージした曲、音の流れから作り始め、詞をのせていくんですが、静寂でしっとりとした空気をまとったパリの夜は、非日常を味わえてとても満ち足りた時間でした。いつも思うことだけれど、旅先でのプライベートな時間は、自分を見つめ直し、振り返ることができる大切なひと時。忙しさや周囲に流されてしまっていても、いったん立ち止まって考えられる、私にはなくてはならない時間です。この歌は、内なる心と対面し向き合う時間、迷いの中から見える小さな光。そんな瞬間的な想いを描写しています」

石畳の路地、地下鉄の電車の音、チュニックの感触や香りも重なり、パリの記憶として残されたであろう彼女の詞からは、もうすでにその先へと向かっている彼女の強ささえも感じてとれる。ブランド名のヌキテパは、英訳するとStand by。「自分らしさに寄り添う」というブランドメッセージは、いまの彼女にこそふさわしい。

MORE INFO
[ LEFT ] 大胆に刺繍をあしらったチュニックだが、メンズにも落とし込んだというアプローチが新鮮な「ヌキテパ」。凛とした美しさをもつジュリアによく似合う。
[ RIGHT ] 旅は非日常な時間をあたえてくれる。悩み、迷い込んでしまった時、立ち止まって、見つめ直し、振り返る時間。自分が自分らしくあるために、との思いを詞にのせて。

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