The Source of Inspiration -旅 余暇 食 - vol.01 会津木綿 × 小澤雅志

SPECIAL2018/04/10

旅、余暇、食ーーーー。
それは私たちのアイデンティティのみなもと。今シーズンのアダム エ ロペは、絵画、歌、文章を生業とする3人のクリエイターをパートナーに選んだ。
彼らにアダム エ ロペが今季特に注力するアイテムを着用してもらい、そこからインスパイアされた独自のアイデアでそれぞれの創作活動を行ってもらった。
ありのまま、自然体の姿で彼らがとらえたものは?
ブランドのコンセプトとともに、そんな3人のドキュメントをお届けしたい。

まっ白なキャンバスから描き出される迫力あるタッチ、凹凸のある絵肌。
何色も塗り重ねることで生まれた微妙なグラデーションの画風が日本の伝統素材、会津木綿とクロスオーバーする。
見たことのないエモーショナルな感性は、我々を惹きつけてやまない。

小澤雅志 プロフィール
画家。大学在学中から作品作りを本格化し、現在に至る。音楽、ミュージシャンからインスパイアされた作品も多く、近年では、多数の飲食店やアパレルブランドとのコラボレーションも行うなど幅広く活躍中。
4/13(金)〜5/7(月)まで、イデーショップ六本木店にてエキシビジョン『Life in Art』を開催。


手で描きたい、グラフィックデザインから絵画の道へ。

柔らかな光が差し込む、真っ白な空間。東京の東側、のんびりとした静かな下町の住宅街に、住居と兼ねた一軒家の一角が小澤の新しいアトリエだ。「改築したてで、1週間前に越してきたばかりなんですよ」と話すように、まだ木の香りが漂う。一昨年前に子どもが産まれ、手狭になったこともあり、転居を決意。「ほとんど来たことのない縁もゆかりもない土地なんですが、けっこういいんです。朝は7 時くらいに起きて、家族で朝食をとり、9 時過ぎから絵を描き始めるのが今の日課です」

小さい頃から絵を描くのが好きだった。「本格的に意識して描き始めたのは高校時代から。当時から音楽もすごく好きで、アルバムのジャケットやポスターなどを見ていて、こういうことを仕事としてやりたいなと。それで美大に行き、グラフィックデザイナーになろうと決意しました。でも結局、美大在学中にグラフィックデザイナーではなく、作家方面に行きたいという気持ちが強まって」

当時は、グラフィックやデザインを手がけるならMac を使えないといけない、という風潮が高まっていた時期。しかし、小澤はそこにどうしても違和感があったという。「コンピュータで描く、デザインを組むということに抵抗があった。手で描いていきたかったんです。高校時代からデッサンはもちろん、手による作品作りにも触れていましたし。その感覚が好きだったから、結局、絵画への道に進んだわけです」。多くの画家から影響を受けたが、好きなのは1950 〜70 年代に活躍したアメリカのジャクソン・ポロックやオランダのウィレム・デ・クーニングといった抽象表現主義の画家。絵に迫力があるのが好きだという彼の作品は、確かにダイナミックな力強さや、存在感がみなぎっている。「絵そのものに凹凸が感じられるというか、ゴツゴツしたのが好きで。画材はいろいろ使いますが、主に使用しているのはアクリル絵具。油絵っぽく使えるので、重ねていくことによって下の色を生かすことができます。塗るごとに深みが増して、色と色が響き合い、微妙なニュアンスのグラデーションが生まれるのが魅力ですね」

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夏は涼しく、冬は暖かい会津木綿。1本1本、糸から染めた職人の手仕事に巧みな技が光る。

和と洋、日本とハバナを繋ぐ色、その先にあるもの。

人を描くことが多い。しかし、具象でも抽象でもない、その狭間を行き来しているような絵。「人を描いた時でも、結局、アウトラインのデフォルメの加減で見え方をコントロールしているので、何と呼ばれる絵か、という定義にはこだわっていません。人の場合は目から描くことが多いですね。顔の表情はとても大事にしていて、目の表現でだいぶ印象が変わるので、かなりの回数で描き直したりします。目が上手く描けると、いい絵になりますね」

今回、小澤らしい作品を、とアダム エ ロペが依頼したテーマは「会津木綿」。まだまだ知られていない多くの日本の伝統や文化を、服を通して伝えたいというコンセプトの一環で、巧みな職人技だからこそ出せる風合いや着心地のよさを実感してほしい、という思いから発せられている。約400 年前から続くこの綿織物は、畑での作業着やふだん着として親しまれてきた。通気性や保温性、吸水性のよさはもちろん、洗えば洗うほどくったりとこなれた風合いになり、長く着るほど体になじんだ愛着の湧く1着になる。

「もう一方のテーマは旅、ハバナと聞きました。絵の色を考える時、最初は何となく自分のなかでイメージを引っ張っておくんですが、今回は会津木綿の藍色とハバナの街並みを連想させるパステルカラーがあるかな、と思ったり。そこを、自分なりにどうリンクさせていくかを考えているところです」

旅といえば、つい最近、沖縄へ訪れたという小澤。「家族との完全にリラックス旅行。久しぶりだったのでのんびりできましたね」。仕事での旅は、昨年、展示絡みでL.A.へ。「好きですね、エネルギッシュで気候も含めた空気感が。次は、やっぱりNYやロンドンに行きたいです」。一見、かけ離れているように思える和× 洋、日本× ハバナ、藍× パステル。これらがキャンバスの上でどう表現されるのか。人を描くことが多いと語っていた小澤。もし、たとえその絵に人が存在しなかったとしても、きっとその絵の向こうには人が存在しているかのような、ポジティブな熱を放つ比類なき作品として、私たちの心を捉えて離さないだろう。

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[ LEFT ]チャイナ風デザインが効いているジャケット。「セットアップはふだんからよく着ます。これも、ふだん着としてくったりするまで着たいですね」
[ RIGHT ]ハバナのパームツリーなのか、会津木綿の縦縞なのか。彷彿させる色彩のバランスやリズムのなかに、彼のパッションが込められている。

会津木綿 × ADAM ET ROPÉスペシャルページはこちら >>

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